文書の長期保存
日々の業務の中で作成される文書のなかには、商法や会社法、法人税法や労働基準法等の法令で保存期間が定められたものがあります。法定保存期間満了後も組織運営上保存が必要な文書、法律では保存期間が設定されていないものの、組織としての説明責任を果たすために、しっかりと保存、管理すべき文書もありま す。
稟議書、契約書、議事録等、保存すべき文書の種類も多様ですが、形式も多様です。
従来の紙文書、マイクロフィルム文書(紙文書をマイクロフィルム撮影した文書)に加え、電子文書(コンピューターで作成された文書)、電子化文書(紙文書を電子化した文書)、COM文書(電子文書をマイクロフィルムに出力した文書)等があります。
電子文書等を収める電子媒体も、磁気テープ、磁気ディスク、光ディスク等多様です。媒体ごとに期待寿命、必要な保存環境も異なりますので、長期の保存にあたっては注意が必要です。
紙、マイクロフィルムに関しては適切な保存環境(温湿度の目安としては、マイクロフィルムは温度15度以下、湿度40%以下、紙は温度25度以下、湿度 60%以下)に保存することで、100年以上の寿命が期待できます。電子媒体に関しては、媒体に加え再生機器の期待寿命が短く、技術進歩が速いため、長期保存のためには、保存環境に応じ、3年から10年ごとの媒体移行(マイグレーション)が必要です。保存した文書の法的効力を保障するためには、タイムスタ ンプ、電子署名の有効性に関しても配慮の必要があります。
組織の営みの中で作り上げられた、組織の核であり柱である文書を、しっかりと保存し、将来に伝え、活かしていくために、それぞれの文書の種類、形式、保存期間、保存目的、使用目的等を念頭に置いた上で、長期的な視点の下に最適な保存媒体、保存方法を選択する必要があります。