資料の劣化対策(紙・マイクロフィルム)
資料は適切に管理しなくては劣化が進み、必要なときに使い物にならなくなります。
紙媒体は、非常に保存性が高い媒体ですが、温湿度の急激な変化に弱く、また、虫やカビの被害を受けやすいという弱点があります。適切な空調の整備、保存箱、調湿キャビネットの使用等で温湿度を管理するとともに、虫やカビの被害が生じている場合は、それらを除去する措置が必要です。
薬剤を用いた燻蒸処理が一般的ですが、処理する分量が少量で、虫害だけならば、低酸素濃度処理等も手軽で安全です。(カビには無効)虫やカビの原因を除去し、再発を防止することも重要です。
また、紙のにじみ止めに硫酸アルミニウムを用いた酸性紙は、時間が経つと、酸性劣化が進みぼろぼろになりますので、早めに脱酸処理を行い中性化する必要があります。ただし、青焼資料やこんにゃく版を脱酸処理すると変色するため、酸性ガス吸着シートやアルカリバッファー紙(弱アルカリ性の紙)とともにポリエ ステルフィルムに封入する(エンキャプシュレーション)等の措置に替える必要があります。
保存性が高く保存目的で作成されることが多いマイクロフィルムは、熱や光に非常に弱いので、保管に注意が必要です。また、劣化が始まるとガスを発するフィ ルムもあります。TACベースのフィルム(フィルムの支持体にセルローストリアセテートを用いたもの)は、劣化が進むと加水分解し、酢酸を発します。(ビネガーシンドローム)複製フィルムとして作成されるジアゾフィルムはアンモニアガスを発散し、ベシキュラフィルムも塩酸を発散し劣化が進みます。
ガス吸着封筒等でガスを吸着し、劣化速度を緩めることはできますが阻止はできないため、劣化の兆候が見えたら複製や媒体変換等の処置を施す必要があります。
また発散するガスが、他のフィルムの劣化も促すため、これらのフィルムは、ほかのフィルムとは別に保管する必要があります。