情報公開法の改正
今年で施行10周年を迎える情報公開法の改正が日程に上がってきました。改正法案は東北大震災がなければ3月15日に閣議決定し、この通常国会へ提出される予定でした。
いずれにしてもそう遅くならない時点で国会へ提出されることになるでしょう。改正案では、首相が公開を「勧告」する新制度や、情報公開訴訟の提出先を全国8箇所の高裁所在地にある地裁に限定する現行制度を見直すことも含まれております。
また「知る権利」という言葉を明記する他、情報公開手続きでは、請求から公開・非公開を決定するまでの期限を30日から14日に短縮する、などの案が入っております。
基本的には情報の公開をより以上に進めようという内容になっております。
政府機関をはじめとして自治体や企業など、あらゆる組織の説明責任が厳しく問われる現代社会にあっては当然の方向であるといえるでしょう。
ちょうどこの4月1日、情報公開法と関連が深い公文書管理法が施行となりました。
公文書管理法ができる前は、公文書管理に関する簡単な規定が情報公開法の中にあるだけで、情報公開と文書管理は車の両輪といわれながらも、いわば片肺飛行の状況だったわけです。
これが公文書管理の一般法である公文書管理法ができ、初めて真の意味で車の両輪が揃うことになったのです。
アメリカやイギリスでは、情報公開法ができる前に、そのインフラとなる公文書の管理に関する法律ができておりますが、遅まきながら日本もこれでようやく欧米並みのベースができたということになります(注)。
その意味で情報公開法の改正と公文書管理法のより良い運用によって、今後、国民に対する政府機関の説明責任が正しく果たされることを期待したいと思います。
(注)米国では1950年に連邦記録法が、1966年に情報自由法が制定されている。
また英国では1958年に公記録法が、2000年に情報自由法が制定されている。
アーカイブ研究所所長 小谷允志
記録管理学会前会長、ARMA(国際記録者管理協会)東京支部顧問、日本アーカイブズ学会会員、日本経営協会参与、ISO/TC46/SC11(記録管理・アーカイブズ部門)国内委員。
著書に『今、なぜ記録管理なのか=記録管理のパラダイムシフト』(日外アソシエーツ)など。