オフィスの移転は、
文書管理見直しのチャンス
文書管理見直しのチャンス
オフィスの移転や配置換えが多くなるこの時期、廃棄文書や廃棄物品が非常に多くなりますが、何を捨て、何を残したらよいのかと迷われることも多いのではないでしょうか。
オフィスの移転や模様替えは、これまでの文書管理体制を見直す絶好の機会です。
今回は、オフィスの現用文書管理と、アーカイブ資料管理の二つの側面から、移転に伴う文書資料の扱いについての概要をお話いたします。
オフィスの移転に伴う文書整備は、大まかに言うと下記の流れで行ないます。
1.移転準備。文書の減量化をメインに、文書整備に関わる体制を決定
(全体のとりまとめを行う部門推進リーダーと、文書調査・管理基準策定のために各課でとりまとめを行う文書整備リーダー)
2.引越業者とのやり取りによる、引越作業を主体とした具体的なスケジュールの決定
3.文書管理に必要な「文書分類基準」と「文書保存年限基準」を決めるための文書調査
4.文書調査結果から、上記二つの基準を決定
5.使用するオフィスの什器・備品、レイアウト等の検討・決定
6.廃棄文書の廃棄・処理後の確認
7.移転(移転後にファイリング作業など)
上記3の「文書分類基準」とは、文書の検索性の向上を図り、文書を組織の資産として有効活用するために、組織で保有する文書を内容や形式または文書種類等の共通項で集約し、系統的に仕分けしたものです。
「文書保存年限基準」とは、経営に必要な重要文書を確実に残し、不要文書の滞留を防いで書棚や保存庫のスペースを有効に活用するために、文書毎に保存年限を設定して管理するものです。
この二つの基準が、文書の廃棄だけでなく、その後の文書の管理ルールの要となります。
次に、アーカイブ資料を移動させる際には、下記の考え方が基本です。
1.オフィス内の資料庫にするのか、外部倉庫へ委託するのか
2.移動先の資料庫の環境(温湿度、照明、周辺環境等)をいかに整えるか
3.アーカイブ資料(歴史的資料)であるかどうかの判断・処理
4.再配架のためのレイアウトをどうするか
アーカイブ資料は組織がオリジナルに保有している資料、つまり唯一の資料群です。
したがって、環境の変化による劣化を防ぐことと組織にとって歴史的資料とは何かを再検討することが、永続的な活用のための第一歩となります。
ヘリテージサービス事業部アーカイブ担当 小根山 美鈴
都内の大学史編さん室、独立行政法人の研究所でアーカイブズの業務に従事の後、現職に至る。日本アーカイブズ学会会員。