歴史的資料の分類と保管のヒント
企業や学校などから、歴史的資料の保管についてご相談を受けることが多くなってきました。後世に遺すことの重要性はわかっていても、何をどのように保管(保存と管理)したら良いのか、どれくらいのコストがかかるものなのか、というご質問です。
資料群に対しては、
・まず目録を作成すること
・次に資料が痛まないよう
・また必要に応じて取り出せるように整理・収納すること
をご提案しています。
その際に、資料を分類し収納場所を決める必要がありますが、一度ルールを決めたら、簡単に変更が出来ないため厳格に決定する必要があります。分類については、曖昧な要素を排して出所や日付など客観的な指標で分類できるようにする必要があります。
また、収納にあたっては、資料が痛まないことを第一に、検索や出し入れも容易でなくてはなりません。
私がかつて勤めていた博物館では、角2サイズ(A4判が入る)の専用保存封筒に入るものはそれに入れ、中性紙製の保管箱の中に立てて保管し、それ以外のモノ資料については、同種類のものをまとめて、適したサイズの保管箱に収容し、定温定湿度の倉庫で保管していました。この博物館は市民からの寄贈・寄託されたものが中心でしたので、配列は寄贈・寄託者の姓名の五十音順でした。一人で数十点寄贈される方もおり、関係の品々が隣接していたのでこの方法がベスト だったのです。
会社であれば、多くの資料には日付があるので年度ごと、あるいは部署ごとに分類するのがベストでしょう。モノ資料については、商品とそのパッケージ、広報宣伝物・ノベルティグッズ、その他の記念品といった内容ごとの分類が良いでしょう。
保存にあたり注意が必要なのは、写真、各種フィルム、プリントした写真、ビデオ、録音テープなどの画像、映像や音声関連の資料とフロッピーディスクなどの初期の電子メディアです。これらは、劣化(色褪せや、再生不能)のスピードが早いので、できるだけ早くバックアップをとるなり、劣化のスピードを遅らせるなりの措置が必要です。

歴史系博物館学芸員として資料の収集・管理や展示・教育業務に携わり、現職に就く。
現在は、企業および学園アーカイブのコンサルティング、プランニング、マネジメントに従事。