フロッピーディスクの終焉
さきごろ、フロッピーディスク駆動装置(FDD)のメーカーが生産撤退に動き始めたことが報じられました(7月27日付日刊工業新聞)。いつの間にか、新しいパソコンには、FDDが搭載されないようになりました。報道によれば、記録メディアが光ディスクやUSBメモリなどに移行し、フロッピーディスク(FD)の市場規模は、ピーク時(1995年)の30分の1以下にまで縮小しているそうです。
思えば、1990年代のパソコンブームや、その前のワープロ専用機の時代を支えたメディアはFDでした。その頃には、各種ソフトウェアもFDで供給されて いましたし、プログラムソフトの入ったFDをAドライブに、データ格納用のFDをBドライブに挿入して作業をしたものです。
FDは、データ容量が2MBに満たない上、アクセススピードも遅かったのですが、当時はそれで十分でした。記録ディスクが硬いプラスチックのカートリッジに守られ、通常はディスクが露出していないので扱いやすく、単価も安いので、文書のやり取りをするにはちょうど良いメディアでした。
いまや、小指ほどの大きさのUSBメモリや切手ほどのSDカードで32GBの容量のものが出ており、隔世の感があります。しかし、小さなメディアに大量のデータを記録することができるようになって、情報の紛失や漏洩のリスクも格段に高まっています。
実際に、USBメモリ紛失による情報漏洩が連日報道されて います。また、コンピュータウィルスへの感染にも今まで以上に注意が必要です。セキュリティ対策ソフトを扱うトレンドマイクロの「インターネット脅威マンスリーレポート」 によると、2009年上半期はUSBメモリを悪用する不正プログラムが猛威を振るったということです。
レポートでは、USBメモリは不特定のユーザーや PCで使い回すケースも多く、メールなどに比べてセキュリティ意識も低いため、再感染が続いているとみられると指摘しています。これらのリスクを回避する ため、信頼できないコンピュータではUSBメモリを使用しない、パスワードによるロックをかけるなど、さまざまな対策を講じる必要があります。
メディアの進化と歩調を合わせて、私たちの意識も変えていかなくてはなりません。