土木学会が「土木コレクション」を巡回展示
公益社団法人土木学会は、今年創立100周年を迎えましたが、周年記念行事の一環として「土木コレクション2014 HANDS+EYES」と銘打って、学会所蔵の貴重な土木図面や写真などを一般公開する全国巡回展を開催中です。4月から来年3月まで、札幌から福岡までの全国15か所の会場で展示される予定です。(http://jsce100.com/)
この展示は、明治期から昭和期にいたる土木技術の優れた構想力と、土木エンジニアの高い志、熱意が伝わってくる繊細な図面や写真を展示する「HANDS土木エンジニア ドローイング展」と、新しいコンセプトの土木プロジェクトを紹介する「EYES土木エンジニア ヌーヴォー展」のふたつの展示で構成されています。
具体的には、前者では青函トンネル、地下鉄銀座線、犬吠埼灯台、琵琶湖疏水、児島湾干拓など89件、後者では東京駅丸の内駅舎保存・復原工事、富山ライトレールなど11件、合わせで100件のプロジェクトが紹介されています。美しい手書きの図面を中心に、工事中の写真や現在の写真が配してあり、興味が尽きません。
おりしも、群馬県の「富岡製糸場と絹産業遺産群」が世界遺産登録を果たしましたが、我が国は明治維新以降、きわめて短い間に西欧の思想や技術を吸収して、近代化を達成してきました。それは、土木に携わってきた人たちの熱い思いと努力、技術の蓄積によって成し遂げられたのだということが、これらの貴重なアーカイブズから見てとることができます。巡回展がお近くに来た折りにはぜひご覧になっていただきいと思います。

ヘリテージサービス事業部アーカイブ担当 中川 洋
歴史系博物館学芸員として資料の収集・管理や展示・教育業務に携わり、現職に就く。
現在は、企業および学園アーカイブのコンサルティング、プランニング、マネジメントに従事。