記録媒体と再生機器
資料の整理、保管を行う際、課題として多いことの一つに、資料の電子化があります。
資料を電子化する場合は、紙資料や写真をスキャニングして画像データ化したり、映像・音声資料を電子データ化します。
映像・音声資料では多くの場合、映像フィルム、ビデオテープ、カセットテープ等が対象となります。いずれも、これまで主流となっていながら、CDやDVDに置き換わり、段々と使われなくなってきた記録媒体です。
記録媒体が使われなくなると、いざ、保存してある資料を再生したくなった際に、既に再生機器を捨ててしまっていたり、再生機器が入手できなくなっていたりするという問題が起こります。
最近では、VHSビデオデッキを生産していた最後の会社が生産終了を発表しましたし、ご家庭や会社でも、VHSビデオやカセットテープはたくさんあるけれども再生デッキは捨ててしまった、ということは多いのではないでしょうか。
再生できない記録媒体をどう保管するのか。電子化して別の記録媒体へ変換するだけでなく、必要なものを残して廃棄することを含めて、早めに対処する必要があります。
電子化をすると決めた場合でも、点数が多いと費用がかかります。映像・音声資料は、紙資料や写真資料と異なり、再生機器がないと何が記録されているか分からないため、どの資料を選別して電子化するかが悩みどころとなります。
その時に目安となるのが、媒体に貼付されていることが多いラベルです。
思いきって、ラベルのあるもの、ラベルに記載されている情報を優先して、電子化する対象の重要度をつけることも一つの方法となります。
電子化して記録媒体を変換したとしても、電子データも再生機器がないと内容が確認できないため、再生機器の問題はなくなりません。電子データを記録するハードディスクや、CD・DVDなどの光ディスクも、今後、いつまで主流となっているかは分からないのです。
また、記録媒体自体にも耐用年数があるため、資料は継続的に保管状況を確認し、見直しを行っていくことが重要です。
【参考リンク】
さよなら「VHS」ビデオデッキ “最後”の船井電機7月で生産終了
(産経WEST、2016年7月15日)
(http://www.sankei.com/west/news/160715/wst1607150113-n1.html)

ヘリテージサービス事業部アーカイブ担当 小清水 萌木
大学図書館で司書として、レファレンスや図書資料整理に携わった後、現職に至る。