資料整理のタイミング
前号のコラムの通り、日本は社史発行の習慣がありますが、記録資料のアーカイブズ構築はなかなか行われません。
それでは、アーカイブズが構築されている企業では、どのようなタイミングでアーカイブズ体制が発足したのでしょうか。
2013年に企業史料協議会が会員企業を対象に実施した「史料管理等に関するアンケート」調査結果(※1)によると、アーカイブズの担当部署設置の契機は、「社史の編纂」(8社)、「周年記念事業として」(4社)、「史料館の設立後に」(2社)が挙げられています。
アーカイブズ体制が発足する際は、周年のタイミングが多く、中でも社史編纂がきっかけとなっていることが分かります。
アーカイブズがない場合、社史編纂時に編纂担当者が資料収集から行わなければなりません。その苦労から、収集した資料を整理し、保管する体制を残されていると思われます。
継続的な資料整理・管理のためには、保存年限が過ぎた文書・資料の中から残していくべき資料を選別し、記録管理すると言うシステムが理想的です。
そのためには、担当の人員、スペース、予算の確保が課題となりますが、通常業務の中では優先順位が上がらず、確保が難しいのが現状です。
周年・社史編纂のタイミングを資料整理の好機と捉え、周年事業や社史の発行を検討される際には、当初から継続的なアーカイブズ構築も視野に入れた計画づくりが重要となります。
年末、大そうじの際に社内の整理を行われることも多いかと思います。
資料を整理し、残していくタイミングについても意識していただくきっかけになるのではないでしょうか。
どうぞ良いお年をお迎え下さい。
【参考資料】
※1 48社中25社からの回答結果。企業資料協議会(編)『企業アーカイブズの理論と実践』(2013年・丸善プラネット)第11章に掲載。

ヘリテージサービス事業部アーカイブ担当 小清水 萌木
大学図書館で司書として、レファレンスや図書資料整理に携わった後、現職に至る。