資料整理とデジタル化
「アーカイブ」という言葉を聞いた時、何を思い浮かべるでしょうか。
NHKの映像コレクションである「NHKアーカイブス」(※1)や、博物館や図書館といった公的機関のデジタルアーカイブ(※2)を思い起こされる方も多いかと思います。
これらのアーカイブは、それぞれの機関で保管、所蔵している映像・音声や文書資料、モノ資料などをデジタル化し、広く利活用できるようにWEB公開されています。
専門機関や公的機関のみに関わらず、お持ちの資料をデジタル化して、社内や学内の方々で共有したり、外部に公開したい、というご要望は多くあります。
資料のデジタル化には、実際の資料を確認に行かなくても内容を調べることができ、また、資料の紛失・劣化を防ぐと言うメリットもあります。
しかし、全ての資料をすぐにデジタル化すれば良い、というわけではありません。
デジタル化にはコストがかかりますし、どの資料をデジタル化するのか、どんな種類のデータでデジタル化するのか、データの保管場所、保管方法、公開方法など、あらかじめ検討して決定すべきことが様々あります。
また、デジタルデータ(画像や映像など)を公開するためには、そのデータがどのような資料なのか(タイトル、年代、内容など)が分かる情報も必要です。
デジタル化する資料の優先順位を決定して選別したり、データの仕様を決定するためには、現物の資料をしっかり把握しておくことが重要となります。
あらかじめ、資料調査を行って資料目録を作成することにより、資料の価値判断を行い、その資料にとって適切なデジタルデータを選択することができるのです。
「アーカイブ」は、公開されているデジタルデータだけでなく、その裏では現物の資料整理の成果が支えています。
資料のデジタル化をお考えの場合は、資料調査・整理も視野に入れていただければと思います。
(※1)NHKアーカイブス(http://www.nhk.or.jp/archives/)
(※2)例えば、東京国立博物館コレクション
(http://www.tnm.jp/modules/r_free_page/index.php?id=95)、
国立公文書館デジタルアーカイブ(https://www.digital.archives.go.jp/)、
国立国会図書館デジタルコレクション(http://dl.ndl.go.jp/)など。

ヘリテージサービス事業部アーカイブ担当 小清水 萌木
大学図書館で司書として、レファレンスや図書資料整理に携わった後、現職に至る。