アーカイブズの活用実績をアピールするには
アーカイブズの構築や維持には、日々の資料収集、整理などの地道な活動が欠かせません。 しかし、モノづくりのように形になるわけではないため、外部からは成果が見えづらく、「何の役に立っているのか」「何のためにあるのか」との問いかけに苦労される担当の方も多いのではないかと思います。
アーカイブズの活用実績で分かりやすいのは、(資料室があれば)訪問者数、問い合わせ件数、資料の貸出件数、データベースへのアクセス件数などが挙げられます。これらは数字として表れるため、統計を取ることが多いものです。 それに対し、意外と残りにくい活用実績として、問い合わせ内容と回答事例があります。
例えば、広報誌に写真が欲しい、社史を書くための資料を探している、製品開発のために過去の商品パッケージはないか…。 収集資料の性質により内容も様々ですが、担当者以外は問い合わせがあったことも知らないことがあります。 しかし、こうした問い合わせ内容の中に「何の役に立っているのか」が具体的に示されているのです。
問い合わせに対する資料提供・回答業務のことを、図書館用語では「レファレンスサービス」と呼ばれています。 国立国会図書館では、全国の図書館と共同で「レファレンス協同データベース」を構築しており、全国の図書館等のレファレンス事例が公開されています。 このデータベースでは、知りたいことを利用者自身が調べられるだけでなく、問い合わせに対する資料の使われ方、職員の回答プロセスを知ることができるため、図書館による利用者対応のアピールツールにもなっています。
当たり前のように行われている業務も、大事な実績の一つです。 数字では見えてこないアーカイブズの活用を残し、アピールするための手段として、問い合わせ内容も蓄積してみてはいかがでしょうか。
【参考リンク】 レファレンス協同データベース(http://crd.ndl.go.jp/reference/)
ヘリテージサービス事業部アーカイブ担当 小清水 萌木
大学図書館で司書として、レファレンスや図書資料整理に携わった後、現職に至る。