なんのための分類か ―図書と史資料の分類―
これまで独自の分類で歴史資料を整理していた組織が、もっと使い勝手のよい、管理しやすい分類方法を導入したいと考え始めた場合、どのような方法が適切なのでしょうか。
例えば、図書と史資料(アーカイブ資料)を同一の独自の分類で仕分けする方法を用いている組織があるとします。コンサルタントとしては、その組織の既存の分類表を参考にしながら、図書と史資料を分けて新たな分類表を作成し、提案します。
図書は多くの場合、「歴史」や「経済」という主題に基づいた分類が用いられています。史資料にこれをあてはめると、一つのファイルに綴じられた文書をバラバラにしてしまわなければなりません。
一つ一つの情報は文字情報として正確であったとしても、「ファイルに綴じられた」意味、つまり文書と文書の関係性(コンテクスト)がわからなくなってしまいます。
図書の分類を、単純に史資料にあてはめられないのは、このような事情によります。
アーカイブ資料については、史料の出所、まとまりを重視すること、史料のオリジナルな形を崩さないこと、これらの原則にのっとり、史料を作り出した組織や当時の活動の様子を再構成することにアーカイブ構築の意義があると考えられています。
図書や史資料が持つそれぞれの特徴を踏まえて史料を分類・整理するのがベストな方法です。
皆さまがお持ちの史資料をまず観察し、分析して、管理しやすい分類を考えてみて下さい。
ヘリテージサービス事業部アーカイブ担当 小根山 美鈴
都内の大学史編さん室、独立行政法人の研究所でアーカイブズの業務に従事の後、現職に至る。日本アーカイブズ学会会員。