進化/深化するデジタルアーカイブ
以前、アーカイブコラムでメタデータを中心としたデジタルアーカイブについて少し触れました。(※1) 今回は、日本におけるデジタルアーカイブの主なサイトをご紹介します。
日本では、「デジタルアーカイブ」という用語が、かなり広い意味で使われています。
海外でいうところのデジタルアーカイブは限定的で、記録資料(文書・ファイル・記録写真・映像)のデジタル化を意味しておりますが、日本ではデジタルライブラリー(図書のデジタル化)、デジタルミュージアム(美術・工芸のデジタル化)を融合させた考え方で用いられているからです。
この分野で先進的な研谷紀夫氏(関西大学総合情報学部准教授)は、これを踏まえて「デジタルカルチュラルヘリテージ、デジタルヘリテージ(DH)」と称しています。
同氏を中心としたグループで作成された「デジタルカルチュラルヘリテージ構築のためのガイドライン(※2)」は、これからデジタルアーカイブの構築を検討されている方々へお奨めしたい資料です。
さて、デジタルアーカイブ関連のサイト及びアプリ等のご紹介をいたします。
1.書籍
国立国会図書館近代デジタルライブラリー
各図書館で専用端末を使って公開する電子書籍サービスなど
2.文化財・美術品
東京国立博物館e国宝
凸版ミュージアムシアター
ルーブル-DNPミュージアムラボ
3.文書・記録
国立公文書館デジタルアーカイブ
国立国会図書館東日本大震災アーカイブ
記録映画アーカイブ・プロジェクト(東京大学大学院情報学環)
4.書籍・美術品・記録の融合(タブレット端末)
秋田県博HD(秋田県立博物館)
100点の西洋美術で読み解く「キリスト教とは何か.」(amanaimages)
5.デジタルアーカイブが本になるパターンも面白い現象です。
『仏教死生観デジタルアーカイブ研究―生きる意味の省察』(鍋島直樹、那須英勝、玉木興慈、井上善幸編、方丈堂出版、2011年10月)
デジタルアーカイブは急成長しており、目が離せません。
各種のアーカイブを、よりわかりやすく、多くの人に知らせるための新しいアイデアがあちらこちらに散りばめられていて、興味が尽きない分野です。
※1 アーカイブコラム:メタデータなくしてデジタルアーカイブなし―「知のデジタルアーカイブに関する研究会」から
※2 http://www.center.iii.u-tokyo.ac.jp/guideline

ヘリテージサービス事業部アーカイブ担当 小根山 美鈴
都内の大学史編さん室、独立行政法人の研究所でアーカイブズの業務に従事の後、現職に至る。日本アーカイブズ学会会員。