定期刊行物のアーカイブズ
市販の雑誌記事の再利用がすすんでいます。付録DVDに過去の記事のPDFデータを入れたり、オンラインで過去の記事を有償公開したりしている例を多くみかけます。
「読み捨て」などと言われた雑誌の世界も、記事をアーカイブ化することで、新しい商品展開がすすめられ、販路や活用範囲が飛躍的にひろがりました。
企業や学校、各種団体などでも、社内報・学園報や広報誌などの定期刊行物を、電子化して保管・活用されるところが増えてきました。
弊社で請け負ったある会社は、会社の合併・社名変更を機に、それまでの社内報をすべて電子ブックにしてDVDに格納し、全社員に配布しました。 また、別のある会社は、記事をすべてピックアップした総目録を作成して、活用されています。
この総目録と記事の画像データをリンクさせれば、目録からダイレクトに記事が読めるので、使い勝手の良いデータベースとなります。
この仕組みは、Excelだけでもつくれるため、小規模なアーカイブズに適しています。
定期刊行物は、途中で体裁や目次の付け方が変わることが多いので、目録作成には注意が必要です。
号によって執筆者の名前があったりなかったり、小さな記事が目次から落ちていたりということがありますので、統一基準を設け中身も見ながら作成しなければなりません。
また、かつての社内報は個人情報のオンパレードで、個々の社員の出身校やパートナー、子息の姓名などまで掲載されていますから、公開や「活用」には注意が必要です。
また、著名人やタレントの写真や記事が掲載されていることがありますが、通常「二次使用」には制限がありますので、この点にも注意が必要です。
いずれにしても、過去の誌面は、記事内容だけでなく、当時の世相やムードなど多彩な情報をリアルに伝えてくれます。
倉庫の一隅に眠らせておくのは、あまりにももったいないと思うのです。
ヘリテージサービス事業部アーカイブ担当 中川 洋
歴史系博物館学芸員として資料の収集・管理や展示・教育業務に携わり、現職に就く。
現在は、企業および学園アーカイブのコンサルティング、プランニング、マネジメントに従事。