図書館の新しい試み
デジタルアーカイブズの公開
デジタルアーカイブズの公開
2017年4月、「デジタルアーカイブ学会」が誕生しました(※1)。同学会は主要新聞においても紹介され、アーカイブズの法整備、ネット公開のため著作権法改正の実現を謳っています(※2)。また、博物館・図書館・文書館はもとより企業のアーカイブズ資源を活用し、デジタルアーカイブズの普及を促しています。
図書館におけるデジタルアーカイブズの運用は、すでに2000年代に始まっています。国立国会図書館は、2002年に「近代デジタルライブラリー」(現在の「国立国会図書館デジタルコレクション」)(※3)をスタートしました。当初は戦前期の図書・雑誌の公開が中心でしたが、現在では政治家や官僚の書簡などの「憲政資料」や、画像や映像など様々な資料がデジタルデータで提供されています。
地方の図書館も、地域にゆかりのある「郷土資料」をデジタル化し公開をすすめています。弘前藩主であった津軽家の資料や、弘前出身の探検家である笹森儀助の資料などを、インターネット上で公開しています(※4)。
また、栃木県立図書館では、川柳作家であった前田雀郎の自筆原稿を集約した「前田雀郎文庫」と、関口琢磨が収集した「関口国光文庫」を公開しています(※5)。ただし、インターネット非公開の資料は「地域資料室」で閲覧しなければなりません。「地域資料室」は、筆者も利用したことがありますが、デジタル化資料の目録が公開されており、よく工夫された施設であるという印象を持ちました。
このように、近年の図書館は書籍の収集・保管・貸出という従来の役割のみならず、アーカブズ(文書館)的機能も果たしています。図書館所蔵の各種資料から、社史制作などにも使える情報やヒントが発見できるかもしれません。
(※1)http://digitalarchivejapan.org/wp/home/(2017年6月29日閲覧)
(※2)「日本版、知の巨大倉庫を」学会設立 デジタルアーカイブ、法整備を働きかけ」『朝日新聞』2017年5月27日朝刊(聞蔵IIビジュアル)
(※3)http://dl.ndl.go.jp/ja/history.html(2017年6月29日閲覧)
(※4)http://www.stat.go.jp/data/chouki/index.htm(2017年6月29日閲覧)
(※5)http://www.lib.pref.tochigi.lg.jp/?page_id=307(2017年6月29日閲覧)
ヘリテージサービス事業部アーカイブ担当 白田 拓郎
自治体や図書館において公文書・古文書の整理に従事し、現職に至る。現在はアーカイブ部門において資料整理を担当。