「まず電子化!」で大丈夫??
デジタル技術の発展とともに、紙資料を電子化してサーバーに保存したり、データベースに登録する企業や学校も増えてきました。その一方で、あれもこれもと電子化してファイル数が膨れ上がったり、どの資料がどのデータに対応しているのか、どこにあるのか分からなくなってしまうケースがみられます。私自身も、紙資料を減らしてパソコンで手軽に資料を見られるようにするつもりが、いつの間にか膨大なデータに振り回されているという話をよく耳にします。
このような事態にならないために、電子化のルールが必要です。具体的には、電子化する資料の基準と、保管のルールが重要となってきます。まず、利用頻度、内容、状態などを基準として、電子化する資料の優先順位をつけます。優先順位をつけることで、本当に電子化すべき資料が明確化します。範囲・数量を絞ることで、電子化にかかるコストを削減できます。また、電子化して原本を廃棄する資料、データと原本を両方保管する資料の基準を決めておくと、物量も減らすことができます。
ファイル名の付与にも一定のルールが必要です。「資料名+作成・発行年月日」などが一般的ですが、資料目録を作成している場合は、目録上の資料IDをファイル名にすることで、原本との対照ができるようになります。また、資料のカテゴリや組織に応じたフォルダ構成と運用ルールを策定することで、データを適切に保管できます。
ルールをしっかり決めておけば、電子化は業務効率を向上させる有効な手段です。一度立ち止まってルール作りをしてみてはいかがでしょうか。
ヘリテージサービス事業部アーカイブ担当 中村 崇高
県立の公文書館職員として公文書の評価・選別、古文書の整理、展示業務などに従事の後、現職に至る。